精神科病院というと「牢屋のような部屋にずっと閉じ込められる」「一度入院したら一生出られない」というイメージが未だに残っているようです。実際に私が初めて精神科病院で勤務していた約20年前には長期間に渡り入院されている方が少なからずおられました。しかし、現在は多くの精神科病院で、医師や看護師をはじめ、様々な職種がチームとして短期間での退院を目指して、入院時から退院、その後の生活までの計画を立てて支援しています。そのため、ほとんどの場合が短期間で元の生活場所や適切な入所施設などでの生活ができるまでに回復していきますので、前述のような長期間の入院となる方は、症状が重くなる前の早い段階での治療ができなかった場合などのごく稀なケースといえます。

 私はこれまでの経験から、認知症や統合失調症などの症状のために生活のしづらさを抱えておられる方やそのご家族には、病状が悪化するより前の早い段階で医療機関にかかる、という事をしていただきたいと考えています。今は医療機関まで行けなくても専門の先生がご自宅まで来てくれる方法もたくさんあります。最近県内の精神科病院数か所で医師や看護師、ソーシャルワーカーの方々とお話をさせていただきましたが、どの病院でも同じように早期受診の必要性を感じておられ、症状が重くなるより前に受診に繋げるための協力は惜しまないと仰られていました。

 「特定の医療機関などには直接相談しづらい」「辛い症状を何とかしたいが通院するのは大変。でも入院はしたくない」「まずはどのような流れで受診をして、その後どのような治療を受けて、どういう経過を辿っていくのかを知りたい」「自分の病状だと、病院にいった方がいいのか、クリニックの方がいいのか、また何を専門としている所に行くべきか」など、なかなか直接自分では聞きづらい分かりづらい内容についても、私は医療機関の職員ではありませんので、お気軽にご相談いただけましたら幸いです。