最近個人の方から「数年前に相続した家にひとりで住んでいたが、高齢になってきたため今後の事が心配」とのご相談をお受けしました。何度かお話をさせていただきましたが、他にお願いできる人はいないとの事でしたので、お元気な間に財産管理委任契約と任意後見契約、死後事務委任契約を結ぶ事となりました。また現状では心身ともに心配のない状況でしたので、財産管理委任契約はご相談者様のタイミングで開始する事となりました。そうする事で、当方にかかる毎月の報酬は当分の間発生せずに済みました。
このように財産管理委任契約は、契約を結んだ相手に財産管理や各種契約手続きの代理等を開始してもらう適切な時を、判断能力のある契約した本人自身で選ぶ事ができるので、判断能力が低下した時に財産管理等の対応をしてもらえる任意後見契約や、亡くなった後の手続きを自分の思い通りに実現してもらえる死後事務委任契約と併せて契約しておくと、生涯を通じて安心して生活できる事につながると思います。
ちなみに「自分の判断能力が低下した時は自分では判断できない」ので、担当のケアマネジャーさんや、通所しているデイサービスの職員さんなど、定期的に会う機会がある方で、認知症の症状に詳しい方にお願いしておき、判断能力が危ういとなった時には契約を結んだ相手方に伝えてもらう事などで対処はできますが、上記の財産管理委任契約等と一緒に、契約を結んだ相手方に定期的な連絡や面談を行ってもらう見守り契約を結んでおく事もできます。ただし見守り契約の内容を実行してもらうのは有料になりますので、状況に応じて適切な支援を検討していくのが良いと思います。