以下に、遺言に関する事について、Q&A方式でまとめてみました。
Q.そもそも遺言書がなぜ必要なのでしょうか?
➡遺言書を作成する事で、自分の思いを伝える事ができ、築き上げた財産の分け方を自身で決める事で、思いを実現できる点にメリットがあります。
加えて、実際の相続の場面における最大のメリットとしては、相続をきっかけとした親族間での争いを未然に防止できる点です。そして、その争いは決して珍しい事ではありません。
非常に残念なことですが、例えばそれまで仲の良かった兄弟姉妹が、相続をきっかけに、遺産のうち何を、どのくらい相続するかについて争いになったり、兄弟間で親の遺産を他にも隠し持っているのではないかと、互いに疑ってしまい関係が悪くなる、等のケースは、実際に遺言がない相続で多く起こっている事です。
しかし、遺言を遺しておけば、財産がどのくらいあるのか、誰にどのくらい財産を遺すのか、など詳細に決めておく事や、自分の考えを子供達に伝える事などができるので、争いが起きるのを防ぐことができ、結果、子供達は良好な関係のまま相続手続きを終える事ができます。
そのため最近のご相談では、子供の側から親に遺言書を作成してもらうようお願いしたい、というケースが増えています。しかし、今はまだ元気な親からしてみると、死んだ後の事はまだ考えなくて大丈夫だろう、と遺言書作成を先延ばしにするケースや、「遺言」というイメージから、早々に死への準備をするような気になる、等のため、遺言書を書くこと自体に気が引ける場合も多いようです。
当事務所ではそのような場合に、大切な人へ遺すことができる最後の贈り物としての遺言書を書く事のメリットや必要性を、親御様にお伝えするお手伝い等も可能です。ぜひご相談ください。
Q.どのような人が遺言書を書いた方が良いのでしょうか?
➡遺言書は本来全ての方が書いておいた方が良いといえます。
例えば不動産をお持ちの場合、遺産相続について相続人同士で揉めてしまう可能性が高い場合、相続人以外の特定の方(孫や子供の配偶者など)に遺産を遺したい場合、相続人となる子供がいない夫婦、配偶者や両親・子供がいない一人暮らしの方などは、特に遺言書が必要なケースとして挙げられます。
このように遺言書が必要な方は、たくさんの財産がある方ばかりではありません。上のケースに当てはまる方は、なぜ遺言書が必要かの詳細について、ぜひ担当者までお尋ねください。
Q.遺言を作るとしたらどんな形式にしたら良いのでしょうか?
➡一般的によく知られている遺言の方法として、「自筆遺言」と「遺言公正証書」がありますが、遺言の作り方や書き方は法律できちんと決められています。特に自筆遺言では、パソコンで作成したもの(財産目録のみパソコン作成でも有効)、口頭で伝えたことや、他の人に筆記してもらったもの、録音、録画したものなどは現状すべて無効です。また、書き方についても決められた形式で、全ての財産を含んだもので、きちんとした文章で作成していないと無効になる事もあります。
しかし、無効かどうかは自分が亡くなった後でないと分からないので、自分が書いた遺言書が有効なものかどうかを自分1人で判断するのはとても難しい事といえます。万が一無効なものであったとしても、それが分かった時にはどうしようもありません。
そのため自分の遺志を確実に実現するには、証人2名の立ち会いの元、公証人が誤りのない、法律的に有効な遺言公正証書を作成し、さらに公証役場で原本を保管する「遺言公正証書」のほうが自筆遺言より安全で確実に遺言を遺す方法といえます。
以上の通り、遺言書作成の必要性などについてお分かりいただけたかと思います。当事務所では「相続手続き」の項目で述べた通り、15年以上の生活支援員・ソーシャルワーカー等の相談員としての勤務経験により、医療・福祉の現場に精通しており、将来の不安や経済的な事などのプライベートな事に関するご相談をはじめ、生活全般にわたるご相談を数多くお受けして参りましたので、多角的な視点からのご満足いただける遺言書作成のお手伝いができます。
現にこれまでにご対応させていただいた一例として、「相続人となる兄弟姉妹ではなく、御世話になった施設へ財産を遺したいがどうしたらいいか分からない」「子供たちの中で、障害があり将来が心配な子がいるため、他の兄弟と揉めないように、そしてその子が生活に困らないようにしたい」「夫婦それぞれが高齢になってきたが子供がいないため、どちらか先に亡くなった場合に兄弟にも相続されると聞き、早いうちにお互いに遺言書を遺したいと思った」などの様々なご相談がありました。そのため、ご支援させていただいた方々とは綿密に打ち合わせをして、ご相談された方のご意向を汲んだ上で、相続人にあたる方々が争うことのないような遺言の内容を一緒に検討して作成して参りました。
以下が代表的な遺言である、遺言公正証書作成における手続きの流れです。
①遺言の内容を決定 | |
この作業が遺言公正証書作成のほぼ全てと言えます。遺言の内容に関してどのようなご希望がおありなのか、相続に関わると思われる方々や周囲の方々との関係性はどのような状況か、ご希望の内容で作成した場合に問題はないか、など詳細に打ち合わせをさせていただきます。 | |
②決定した内容から原案を作成して検討 | |
文書に書き起こす事で、再度遺言の内容について一緒に納得のいくまで検討します。 | |
③必要書類の収集 | |
遺言公正証書の作成にあたり必要な資料等の収集を行います。 | |
④公証人との打ち合わせ | |
ご希望の公証役場の公証人に連絡し、遺言書原案、収集した必要書類を元に内容の確認や不備がないか等の打ち合わせを行います。 | |
⑤証人を依頼 | |
遺言公正証書の作成にあたっては証人2名の立会いが必要です。必要であれば当事務所で証人2名をご準備いたします。 | |
⑥公証人・証人の立会いの元、署名・押印し遺言公正証書が完成 | |
原則、ご希望の公証役場にて作成します。(ご病気等、公証役場まで出向く事が難しい場合は費用はかかりますが、ご自宅等まで公証人や証人が来てくれます) |